息子が亡くなってからも、次女は息子の気配を時々感じるらしい。
授業中ぼーっとしていると机をトントンと叩いたり、足をふわっと触っていくらしい。
家族で話していると、「あ、今お兄ちゃんの匂いがした」
などと言う。
息子がよくつけていたコロンの匂いがするらしい。
夢にもよく登場するらしい。
私は鈍いのか全く何にも感じない。
夢にも出てきてくれない。
息子と次女は仲が良かった。ケンカもよくしていたが、2人でUSJに行ったりもしていた。
だから、息子が亡くなったことは次女にとってもかなりのショックだっただろう。
息子が死んだと連絡を受けた時、娘を学校に迎えに行くために学校に電話をした。「〇〇にいちゃんが死んだんや」と私が言った震える声を、次女は今でも忘れられないと話す。
あれから2年がたち、次女は大学生になり息子の年に近づいた。楽しく大学生活を送っているようだが、時々何かの折に思い出し、涙が止まらなくなることがあると話す。
ごめんね、つらい思いをさせて。
娘の心にも大きな傷をつけてしまった。
息子よ、妹のそばにいるのなら、どうか優しい暖かい風を送ってあげて。
何も感じてあげられない母の代わりに、すべて感じてくれている娘のために。