青い空の向こうに

2017年4月息子が青い空の向こうに行ってしまいました。

息子の遺書その2

川崎で恐ろしい事件がおきた。

ニュースで解説者が「これは典型的な拡大自殺です」と言っていた。

1人で死ぬのが嫌だったのだろうか。

犯人がどんな心の闇を持っていたかは今となっては想像しかできない。

心の中は本人にしかわからない。


私も前は1人で死ぬのは怖かった。

死ぬときは皆1人とわかっていても、恐怖心はあった。

でも息子が亡くなってから、死ぬことが怖くなくなった。向こうで息子に会えるかもと思うと恐怖心どころかその日が楽しみに感じることさえある。


息子はネコを飼っていた。中学生の時に目も開かない子猫を友達にもらって、それからずっと我が子のように可愛がっていた。

大学に入った時もペット可のアパートを探して一緒に住んでいた。


遺書の中にそのネコが急死したことが書かれていた。

突然の死だったらしく、動揺したことが書かれていた。ネコが急死したのは自分のせいだと、あの世に行って謝りたいと書かれていた。


遺書を見たとき、「いくらネコが大事でも、そんな後追い自殺する?そんなネコだけが心の支えみたいな・・」

と私たちは嘆いたものだった。

ある人は「ネコはきっかけ、この子はずっと死にたかったのよ」と言った。


どっちが本当でもつらい。

何が本当なのかはもう今となってはわからない。想像することしかできない。

息子に会いたい。

会って本当の気持ちを聞きたい。


いつか向こうで息子に会ったとき、真実を聞くことができるだろうか。

息子の遺書

息子は遺書を残していた。

遺族へと表に書かれた大きな茶封筒 がアパートの机の上に置かれていた。


中身はお父さんへお母さんへ姉妹たちへ友人たちへと

それぞれコピー用紙にきちんと書かれていた。

恨みもつらみもなくただただみんなへの感謝の言葉しか並んでいなかった。

みんなに心配かけるから心臓発作で死んだことにしておいて下さいと書かれていた。


こんなにきちんと文章書いてる間にどうして思いとどまってくれなかったんだろう。


遺書の最期の用紙には銀行のATMの暗唱番号が書いてあった。

「お姉ちゃんの結婚資金にしてね」

と書いてあったので、よっぽどためこんであったのかと思ったら、残高2万4千円だった。

「〇〇らしいわ」とみんなで泣いた。


今でも遺書は最後までまともに見れない。

次女の夢

次女はあいかわらずよく息子の夢を見る。大体はそこに立って笑っているらしいが、たまに生き返った設定になるらしい。

「わー〇〇にいちゃん、やっぱり生きてたー」

と言って泣きながら飛びついて抱きつくと目がさめる、というのがお決まりのパターンらしい。


次女は割とお気楽な性格で、あまり物事を深く考えるほうではない。

それでもやはり心配ごとはあるようだ。

「ねー私結婚できるかなぁ」

と聞くので、

「何で?」と聞くと

「お姉ちゃんは前から付き合ってた人がいたから良かったけど、私はどうかな?隠しておくわけにもいかんしねぇ」

という。

「そんなん気にしないよっていう人見つけね」

と答えた。

「わかったー」と言っていたが、気になるよねえ。


どうかいい人見つけてね。