息子の遺書
息子は遺書を残していた。
遺族へと表に書かれた大きな茶封筒 がアパートの机の上に置かれていた。
中身はお父さんへお母さんへ姉妹たちへ友人たちへと
それぞれコピー用紙にきちんと書かれていた。
恨みもつらみもなくただただみんなへの感謝の言葉しか並んでいなかった。
みんなに心配かけるから心臓発作で死んだことにしておいて下さいと書かれていた。
こんなにきちんと文章書いてる間にどうして思いとどまってくれなかったんだろう。
遺書の最期の用紙には銀行のATMの暗唱番号が書いてあった。
「お姉ちゃんの結婚資金にしてね」
と書いてあったので、よっぽどためこんであったのかと思ったら、残高2万4千円だった。
「〇〇らしいわ」とみんなで泣いた。
今でも遺書は最後までまともに見れない。