息子の遺書その2
川崎で恐ろしい事件がおきた。
ニュースで解説者が「これは典型的な拡大自殺です」と言っていた。
1人で死ぬのが嫌だったのだろうか。
犯人がどんな心の闇を持っていたかは今となっては想像しかできない。
心の中は本人にしかわからない。
私も前は1人で死ぬのは怖かった。
死ぬときは皆1人とわかっていても、恐怖心はあった。
でも息子が亡くなってから、死ぬことが怖くなくなった。向こうで息子に会えるかもと思うと恐怖心どころかその日が楽しみに感じることさえある。
息子はネコを飼っていた。中学生の時に目も開かない子猫を友達にもらって、それからずっと我が子のように可愛がっていた。
大学に入った時もペット可のアパートを探して一緒に住んでいた。
遺書の中にそのネコが急死したことが書かれていた。
突然の死だったらしく、動揺したことが書かれていた。ネコが急死したのは自分のせいだと、あの世に行って謝りたいと書かれていた。
遺書を見たとき、「いくらネコが大事でも、そんな後追い自殺する?そんなネコだけが心の支えみたいな・・」
と私たちは嘆いたものだった。
ある人は「ネコはきっかけ、この子はずっと死にたかったのよ」と言った。
どっちが本当でもつらい。
何が本当なのかはもう今となってはわからない。想像することしかできない。
息子に会いたい。
会って本当の気持ちを聞きたい。
いつか向こうで息子に会ったとき、真実を聞くことができるだろうか。