次女との会話
施設に入っている夫の母が体調が悪くなり入院した。もう86歳なので、老衰で食事がとれなくなり脱水になったらしい。
点滴をして少し回復したが、口から食べられるわけではないので、退院して施設に戻ったらまた脱水になるだろう。
夜次女とご飯を食べながら会話した。
「むずかしいねぇ。ばあちゃん退院しても点滴するか、もう食べられなくなったら自然にまかすか。終わり方がむずかしいねえ」
「延命治療するかしないか考えないとねぇ」
そんな話しをしていたら、次女が、
「私がもし死んだら目以外は臓器あげてもいいからね」と突然言った。
「目はダメなの?」
「うん、何となく」
そうかあ、死んでも目はダメなのかあ。
そんなことを考えていたら息子の亡くなった時のことを思い出した。
あの時、私たちが駆けつけると、息子の目から涙がこぼれ落ちた。
「まだ生きてるの!?」
顔は氷のように冷たいのに、必死で目をこじ開けた。開けた瞳の色でやはり生きてはいないのだと思い知らされ、また泣き崩れたことを思い出した。
あれからもう4年以上たったが、あの時の息子の頬の冷たさは今でもはっきりと覚えている。
娘との会話で久しぶりに思い出した。
人の人生の終わり方って色々だなあ。
いったい誰が決めるんだろう。
少なくとも、もう2度と我が子の冷たい頬には触れたくない。