青い空の向こうに

2017年4月息子が青い空の向こうに行ってしまいました。

海の思い出

子供たちが小さい頃、よく海水浴に行った。

夫は何kmでも泳げる人だったし、子供たちは皆スイミングを習っていて泳ぎは上手だった。

家族の中で一番泳ぎが下手くそなのは私だった。

なのでいつも息子に「〇〇、ママが溺れたら助けてよ」

と冗談を言っていた。


海の中で遊んでいて、私が貝採りに夢中になって浮き輪が流されていくと、息子は遠くにいても黙って戻ってきてそっと私のそばに浮き輪を置いてくれた。


息子は本当に優しい子だった。


今になってわかること。

息子のライン

息子が亡くなる一年程前に、夫が心筋梗塞になったことがあった。

生きるか死ぬかの状態になり、家族で病院に駆けつけた。息子にも車で帰ってくるよう頼んだ。

病院に来た息子はいつも通りヘラヘラと笑っていた。


その後夫はなんとか命を取り留め、回復した。


息子が亡くなってから息子の友達が見せてくれたラインに、夫が倒れた日のことが書いてあった。

「お父さん死んだらどうしようって、俺運転しながら泣いてた」と。


それを見て

「死んだらどうしようって言って自分が死ぬなよなぁ」

と長女は泣いた。


そんな顔全然見せなかったやん。

そんなこと思ってたなんて全然気がつかなかったやん。笑ってたし。


こんな風に息子の思いに気づかず通り過ぎたことが今までどれだけあったのだろう。

息子とトーマス

息子は幼い頃機関車トーマスが大好きだった。保育所の誕生日のインタビューで、大きくなったら何になりたいかと聞かれてトーマスになりたい、と答えていた。


息子は昔からのんびり屋でマイペースだった。

あまりにのんびりしているので、誘拐でもされるんではないかと心配した夫が、

「知らないおじさんが、トーマスのおもちゃをあげるから車に乗りなさいって言ったらどうする」と聞いたことがあった。すると息子は「ビデオもちょうだいって言う」と答えて、私たち夫婦をずっこけさせたことがあった。


そんな息子の性格はずっと変わらなかった。

のんびり屋でマイペース。怖い映画が好きなくせにビビりで。

大学に入ってからもマイペースでやっていると思っていた。


なのにある日いきなり命を絶ってしまった。


なんで?そんなにこの世は〇〇にとって生きにくい場所だったの?


不器用でビビりだったのに、なんで一回で成功させるの?


ほんとわかんないよ。教えてよ。


答えてくれない遺影にいつも問いかけている。