エンバーミング
監察医朝顔の漫画で、エンバーミングのことが載っていた。
遺体に処置を施して長期保存を可能にする技法だ。
息子が発見された時、亡くなって数日たっていたので、葬儀屋さんはもう翌日には火葬にしましょうと言われた。
見た目はそうでもないが、中はだいぶん傷んでいますのでと。
あっというまに朝になり、葬儀が終わって出棺になった。
火葬場に向かう寝台車の中で、私はずっと息子の顔を見ていた。
早く目を開けないと焼かれてしまうよと顔をなでていた。
あの時エンバーミングのことを知っていたら頼んだだろうか。
そうしたらもう少しゆっくりお別れができただろうか。
でも息子はそんなことは望まなかったかもしれない。
息子の冷たくこわばった指の感触を思い出しながら考える。