あの日の引っ越し
三月。世の中卒業、就職で引っ越しシーズン。
うちの次女も引っ越しすることになり、今日は朝からアパートの荷物運び。
2階なので、重い家具をよろよろと階段を2人がかりでおろしていく。
布製のソファーをおろしていると、あの日のことを思い出した。
息子の遺体を4人がかりで2階から階段をおろそうとしたけれど、角をどうしても曲がりきれず、また部屋までいったん戻ったこと。
葬儀屋さんが遺体を痛めないようになんとか運び下ろしてくれたこと。
突然思い出した。
次女の荷物は多かった。
何度も車で往復した。
今思うと息子の荷物は次女と比べるとびっくりするほど少なかった。
あの部屋で息子は毎日何を考えながら暮らしていたのだろう。
考えると泣けてくる。